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『1対マス』の「ヤマアラシのジレンマ」 (2007年4月6日)

「ヤマアラシのジレンマ」

という寓話がある。

簡単に言うとこういう話。

 

寒空の下のヤマアラシ2匹が近寄ってお互いの身体を暖めたい。
けど近づき過ぎるとお互いの針が刺さって痛い。
でも離れると寒い。

 

なので適度な距離(寒すぎず、痛すぎず)を保つようになった、という話。
人間は他の人間と身体を温めあい続けないと生きていけない動物なのだろう。

これはヒューマンドラマの感情的なセリフではなく、ただ単に「人間」というただ脳みそがデカいだけしかとりえのない生物が、この厳しい自然界で生き残って遺伝子を伝えていく為の当然の生理学的行動なのだと思う。

 
ただ、
「温めるために近寄りすぎるのもまた弊害を生む。」
というのがこの話のミソ。

この寓話にはいろんな解釈が成り立つと思う。

 

「1対1」の対人関係においては恋人や親友、親子関係等に置き換えるとわかりやすいだろう。

 
僕の「A1理論」で言うと、いくら(A1,B1)な者どうしでも感情を持つ人間である限り、お互いに、機嫌が悪い時、落ち込んでいるとき、一人になりたいとき等などが諸々の環境の変化から起こりうるのは当然である。
ゆえにくっつきっぱなしはお互いにとってよくない。

 

僕が大学の寮に入ってすぐに誰かの先輩から聞いたアドバイスは、
「同室の寮生と『適度な距離』を保つこと」
だった。

あの狭い寮の狭い部屋で二人暮らしなのだから、あえて同室と「適度な距離をとれ」と言いたかったんじゃなんじゃないかと思う。

 

それでは「1対マス」の関係ではどうか?

 

ここでは時限的な個別の「状態」(例;「機嫌」)を排除した、生来的・生理的・性格的・本質的な、「あう」「あわない」な人が点在する「この世界」で、どうやって「あう」人だけにピンポイントに会えるか、と解釈できるんじゃないかと思う。

 

極端に言うと(A2,B2)な人にいっぱい会ってもお互いの針で傷つけあうばかりでなんらメリットがない。
逆に(A1,B1)な人達なら傷ついた心も癒してくれる可能性が極めて高いだろう。

 

「1対マス」の関係で「ヤマアラシのジレンマ(「温めるために近寄りすぎるのもまた弊害を生む。)」を解釈すれば、
「どれだけ(A2,B1)(A2,B2)の人の針に傷つかずに、(A1,B1)の人に多く出会えるか?」
ということになるのではないだろうか?

 
誤解を恐れずに言えば、これはある意味「ゲーム」でもある。
(ちなみに言うと、リアル世界で(A2,B2)な人ばかりに囲まれていっぱいいっぱいでギリギリな人たちがせめてmixi上で温かい言葉をかけあえるように作ったのが僕の某コミュニティだった)

 

で、ここでそもそも日本社会における「1対マス」という関係自体をもう少しだけ考えたい。

 
95年の「インターネット元年」が訪れる年までは、日本で「1対マス」の関係というと、『職場』の人間関係だけが主だったと思う。

 

これは中根千枝が『タテ社会の人間関係』で書いたように、

戦後日本人の所属する集団は基本的に「単一」だった。

戦後の日本においてはそれは唯一「カイシャ」という『生活コングロマリット組織』だけだったと思う。

 

例えば僕が生まれ育った町には戦後日本を代表するような大きな会社の工場があった。
子供の頃(80年代)この町に、ものすごく大きなお祭りが毎年あって、子供心にそれはおそらく昔からこの町にある伝統的な地域のお祭りだと思っていた。

が、大人になって、親からあれはその会社の『社員祭』だったと聞かされた。

 
その時やっと理解した、
「僕の町に工場があった」
のではなく、
「工場の中に僕の町があった」
のだと。

 

うちの親父の作った、吹けば跳ぶようなギリギリ生き延びている零細会社は、その大会社の軒先を借りてほそぼそと商売をさせてもらっていただけだった。

 

 

この、世界でも稀な『生活コングロマリット組織』が戦後日本に生まれた背景には様々な要因があったと思う。

 
日本人の「ウチ」「ソト」を分ける元々の国民性もあるだろうけど、右肩上がりの『日本国』の経済成長、それに伴う『会社』と『個人』の成長、この3つの成長が三位一体になっていたのが戦後の日本だったと思う。

つまり、戦後長らく『職場における人間関係』だけが日本人のほとんど人生のすべてだった。

ただ、95年にWindows95が発売され、同時に、後にメルマガ・ブログ・SNSと続く個人発信メディアである「ホームページ」という言葉も広まった。

時を同じくするかのようにこの辺から日本企業における終身雇用・年功序列が次々と崩壊していき「リストラ」という言葉も生まれた。

 

85年のニューヨークでの「プラザ合意」から10年、戦後初めて、日本における、
「国家の成長」

「会社の成長」

「個人の成長」
がそれぞれ分離して語られ始めたのがこの95年という年だったのではないだろうか。

 

そのタイミングで「インターネット」の幕が開き、ここから日本人の人生における生活の「場」は『職場』という「単一」のものではなくなりはじめた、とも言えるのではないだろうか。

 

で、ちょうどその頃に社会に出て行ったのが『76世代』と言われる世代。
客観的に言うと、この世代はその後、旧来の「カイシャ」という単一世界に所属したものが半分。
あとの半分は日本人には珍しく、欧米人のように「いろんな社会」に属している、少なくとも属すことが可能な世代なのではないかと思う。

それには「国家」や「カイシャ」を信用していては危ない時代に育ったこと、そしてネット及びmixiに代表されるSNSの普及もそれに拍車をかけているのではないかと思う。

その76世代がその2種類の人間に分かれるかどうかの『分水嶺』は就職率最低のあの就職活動時期だったのではないかと僕は思う。

 

少なくとも僕らのときは、試しに就職活動に行くと、明らかに、
「へ~、うちのカイシャに入りたいの???で、なにか特技や資格は?ふーーん、ないの???」
という感じで明らかに企業側が「採用してやる」という態度だった。

 

そこで頭を下げて「採用してもらった」人と、僕の知り合いのように、
「いや、仕事やキャリアはお前のほうが上かもしれんが、お前も俺も同じ『人間』やろうが!!同じ『ヒト』に向かってその態度はなんぞいや!!!」
と、ドアを蹴り上げて「出て行った人」、
(し、知り合いの話ですからね!)

 
この世代にはこの2種類の人種がいるように思える。

 

前者の人生パターンはこれまでの戦後の日本人と同じく当然、「カイシャ一辺倒」になるだろう。

 
ただし、後者の人生は、
「好きな人とは会うが、嫌いな人とは会わない。」
という、戦後の日本人の中ではかなり変わった部類の世代になるのではないかと思う。

そのタイミングで出てきたのがmixi。
これにより、それまで一部の人間しか使わなかった「メーリングリスト」の利便性がさらに高機能になって世に広まった、と思う。

 
今現在のその様子を私がある意味、予想したような日記が3年前に書いた日記、 

GREEとmixi、どっちが増えるか?(2004年5月6日)

https://a1riron.com/entry/2013/08/27/184848
と、その1年後に書いた日記、
GREEとmixi、どっちが増えるか? ~1年後の考察~ (2005年5月3日)

https://a1riron.com/entry/2013/08/29/150731

ま、簡単にいうと、mixiもGREEも、

「使うやつは使う。使わんヤツは使わん。」

ということですw

 

例えば、私が商社マンだったとします。

mixiとかGREEはするか?

絶対しませんw

なぜなら「商社マンだから。」と言うほかない。

 

頭を下げて「カイシャ」に「入れてもらった」人は戦後・バブル期同様、
「恒常的に自分にメシを食わせてくれる組織とその構成員」
に常に会い続ける『行為』(仕事)のみで、すでに生活空間における(A1,B1)率が高いのである。

なのでそれ以上に(A2,B1)(A2,B2)に出会うリスクを冒してまでmixiやGREEをやろうとは思わない。
やってもせいぜい学生時代の友達との連絡用や2ちゃんねる的な口コミ情報の採集、日常生活の癒し程度で、コミュに書き込んだり、ましてやオフ会に行くなど(異業種交流会コミュなどの例外はあっても)基本的に参加はしないだろう。

 

なので「カイシャ」での「1対マス」の距離間の保ち方も先輩社員や、または自分と同じサラリーマンだった父親のマネをすればいいだけだろう。

世の中にはそれこそ無数の「先輩」がいるし、無数の失敗例もある。
既存のビジネス本にも腐るほど職場における人間関係のハウツーが書かれてある。

 

問題なのは「カイシャ」に属さなかった(属すことになんらメリットを感じなかった)人間の、主にネット上における「1対マス」の「ヤマアラシのジレンマ」である。

 
とにかく人生は短い。
がんばって生きても100年。でもせいぜい80年がいいとこ。

その中でも分別がついてまともに身体が動くのは20歳~60歳くらいの40年くらい。

 
さらに食べていくため、学費を返すためには働かないといけないし、働けば疲れるので睡眠時間もとらなくてはいけない。

そうなると、(A1,B2)や(A2,B1)に会うことに費やす時間と労力と費用は当人が思っている以上に『浪費』になる。

それがいわゆる「mixi疲れ」という状態なんじゃないかとも思う。

 
先日、「ネット活動では(A1,B2)(A2,B2)は寄ってこない」と書いた。

確かにヤマアラシで例えれば『針のある人間』は寄ってこないかとは思う。

 

が、問題は(A2,B1)。
針はないから「痛く」はない。
ただこっちが「痛い」と思うから「痛い」のである。

今のmixi上ではもう、とにかく「痛い」人が多い。

悪気はない、ただただ「痛い」のである。

 
ネット・mixiで人間関係は大きく便利になったが、同時に大きく不便にもなった。
これらが私が解釈した、「1対マス」の、「カイシャ」に属さなかった人間の、ネット・mixi上での「ヤマアラシのジレンマ」である。

 

~追記~
この日記も過去のmixi日記のリライトです。(2007年4月6日)

最後のほうはいい具合にmixi疲れしているのが見て取れますw
(結局、この後、僕はmixiもリアル社会も「ソーシャル断捨離」を何度も繰り返し、今はfacebookやLINEで少数の昔からの友達とだけ遊んでいます。「大人になる」とはこういうことなのかもしれません。)

 

あと『76世代』懐かしいw

けど、結局『76世代』な人たちってほとんどもうフェイドアウトしちゃった気がする。。。

 

あと、世代に関係なく「フリーランスな生き方」をしている人は一定数いるとわかってきたのはつい最近です。

あの頃、僕は若かった。。。『76世代』なんかなかったんや!w

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